会社設立の流れと具体的な手順|株式会社ができるまでを順を追って
株式会社の設立について、基本事項の決定から定款認証、登記申請、設立後の届出まで、実際の手順を順を追ってご説明します。費用の目安と、期限のある届出も一覧にまとめました。
「会社をつくろう」と決めたあと、実際に何をどの順番で進めればよいのか。ひとつひとつは難しくないのですが、はじめての方には全体像が見えにくいところだと思います。
このページでは、株式会社ができあがるまでの流れを、順を追ってご説明します。
全体の期間は、おおよそ1か月から2か月
準備の進み具合にもよりますが、目安としては次のようになります。
| 段階 | 期間の目安 |
|---|---|
| 基本事項を決める | 1〜2週間 |
| 定款の作成と認証 | 3日〜1週間 |
| 資本金の払い込み | 1日 |
| 登記の申請 | 1日(完了までさらに1〜2週間) |
| 設立後の各種届出 | 2週間程度 |
急ぐ場合は2週間ほどで登記までたどり着くこともありますが、事業目的や資本金の決め方は後から変えると費用がかかるため、ここは落ち着いて考えたほうがよい部分です。
手順1 会社の基本事項を決める
最初に決めるのは、次の項目です。定款に書き込む内容ですので、ここが固まらないと先に進めません。
商号(会社名)
同じ住所に同じ商号の会社は登記できません。また、既存の有名企業と紛らわしい名称は避けるべきです。使える文字にも決まりがあり、ローマ字やアラビア数字は使えますが、記号は一部に限られます。
本店所在地
自宅を本店にすることもできます。賃貸の場合は、契約上、法人登記が認められているかを確認しておいてください。
事業目的
実際に行う事業に加えて、将来行う可能性のあるものも入れておくと、後から変更する手間が省けます。ただし、あまりに多岐にわたると、金融機関から事業の実態が見えにくいと判断されることがあります。10項目前後に収めるのが一般的です。許認可が必要な事業は、その要件に沿った書き方をしておく必要があります。
資本金
1円から設立できますが、実務上は当面の運転資金を目安に決めます。この金額は登記簿に載り、取引先や金融機関が見るところでもあります。
なお、資本金が1,000万円以上になると、設立初年度から消費税の課税事業者となります。1,000万円未満であれば設立1期目は原則として免税です。この差は小さくないので、資本金を決めるときはあわせて検討してください。
事業年度
決算月をいつにするかです。繁忙期を避ける、という選び方が基本ですが、消費税の免税期間を長く取りたい場合は、設立月の前月を決算月にすると、1期目をおおむね12か月確保できます。
役員構成
取締役1名だけでも設立できます。任期は原則2年ですが、非公開会社であれば最長10年まで伸ばせます。長くしておくと、任期満了ごとの登記の手間と費用が減ります。
手順2 会社の印鑑をつくる
代表者印(実印)、銀行印、角印の3点が一般的です。登記申請にあわせて印鑑の届出をする場合、代表者印は必須になります。作成には数日かかるため、この段階で発注しておくと後が詰まりません。
手順3 定款をつくり、認証を受ける
定款は会社の基本ルールを定めた書類で、株式会社の場合は公証役場での認証が必要です(合同会社では不要です)。
認証にかかる手数料
資本金の額によって変わります。
| 資本金の額 | 認証手数料 |
|---|---|
| 100万円未満 | 3万円 |
| 100万円以上300万円未満 | 4万円 |
| 300万円以上 | 5万円 |
なお、2024年(令和6年)12月1日から、資本金100万円未満の株式会社について、①発起人が全員自然人で3人以下であること、②発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける旨が定款に記載されていること、③定款に取締役会を置く旨の記載がないこと、というすべての条件を満たす場合、手数料が1万5,000円に引き下げられています。小規模に立ち上げる場合は、この要件に当てはまることが少なくありません。
電子定款にすると4万円の差が出ます
紙で定款を作成すると、収入印紙代4万円がかかります。電子定款であればこれが不要になるため、専門家に依頼する場合でも、この差額でおおむね相殺されます。ただし電子定款の作成には専用の機器とソフトが必要になるため、ご自身で行う場合はかえって割高になることもあります。
手順4 資本金を払い込む
定款の認証が終わったら、発起人個人の銀行口座に資本金を振り込みます。この段階ではまだ法人口座は作れないため、個人口座を使います。
注意点として、残高があるだけでは足りません。「振り込んだ」という記録が必要です。すでに口座に十分な残高があっても、いったん出金して入金し直すか、別口座から振り込んでください。
払い込みが済んだら、通帳の表紙・見開き・振込記録のページをコピーし、払込証明書を作成します。
手順5 法務局に登記を申請する
必要書類を揃えて、本店所在地を管轄する法務局へ提出します。この申請日が、会社の設立日になります。
登録免許税
資本金の額の0.7%、ただし15万円に満たない場合は15万円です。合同会社の場合は同じく0.7%で、最低額は6万円になります。
設立日を選びたい場合
2026年2月2日以降は、一定の要件を満たすことで、土日祝日や年末年始を設立日とすることもできるようになりました。申請書に特例を求める旨と希望する登記の日を記載し、その直前の開庁日までに申請が受理されている必要があります。創業記念日にしたい日がある方は、この方法が使えます。
なお、登記が完了するまでには申請から1〜2週間かかります。完了を待ってから、登記事項証明書と印鑑カードを取得してください。これ以降の手続きで何度も必要になるため、証明書は3通ほど取っておくと安心です。
手順6 設立後の届出を済ませる
登記が終われば会社は成立していますが、手続きはここからも続きます。期限のあるものが多いので、この一覧をご確認ください。
| 提出先 | 書類 | 期限 |
|---|---|---|
| 税務署 | 法人設立届出書 | 設立から2か月以内 |
| 税務署 | 青色申告の承認申請書 | 設立から3か月を経過した日と、1期目の事業年度終了日のうち、早いほうの前日まで |
| 税務署 | 給与支払事務所等の開設届出書 | 設立から1か月以内 |
| 税務署 | 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 期限なし(提出した月の翌月分から適用) |
| 都道府県税事務所・市町村 | 法人設立届出書 | 自治体により異なる(1〜2か月以内が一般的) |
| 年金事務所 | 健康保険・厚生年金保険 新規適用届 | 事実発生から5日以内 |
| 労働基準監督署 | 保険関係成立届 | 従業員を雇った日から10日以内 |
| ハローワーク | 雇用保険 適用事業所設置届 | 従業員を雇った日から10日以内 |
このうち特に気をつけたいのが青色申告の承認申請書です。提出を忘れると1期目から青色申告ができず、欠損金の繰越しなどの取り扱いが受けられません。設立直後は何かと慌ただしいため、登記が完了したらまず出してしまうことをおすすめします。
社会保険については、役員報酬が発生する場合、社長1人の会社であっても加入は義務です。任意ではない点にご注意ください。
このほか、法人口座の開設も進めます。近年は審査が厳しくなっており、事業内容の説明資料を求められることもあります。ホームページや事務所の実態があると、話が通りやすくなります。
費用の目安
自分で手続きをする場合の、実費のおおよそです。
| 項目 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 定款認証手数料 | 1.5万〜5万円 | 不要 |
| 定款の収入印紙 | 4万円(電子定款なら不要) | 同左 |
| 登録免許税 | 最低15万円 | 最低6万円 |
| 登記事項証明書・印鑑証明書など | 数千円 | 数千円 |
| 合計(電子定款の場合) | 約17万〜20万円 | 約6万円 |
専門家に依頼する場合は、これに報酬が加わります。
つまずきやすいところ
事業目的の書き方
許認可が必要な事業では、行政庁が求める文言でないと申請が通らないことがあります。設立してから書き直すには、変更登記の費用がかかります。
決算月を安易に決めてしまう
「3月がなんとなく区切りがいい」で決めてしまうと、1期目が数か月しかない、繁忙期に決算作業が重なる、といったことが起こります。
資本金1,000万円のライン
ちょうど1,000万円にすると、設立初年度から消費税の課税事業者になります。999万円と1,000万円では、扱いがまったく変わります。
インボイス登録との関係
設立1期目が消費税の免税事業者であっても、インボイス発行事業者に登録すれば課税事業者になります。取引先の状況によっては登録が避けられないため、免税のメリットを見込んでいた場合は、あわせて検討が必要です。
登記そのものは司法書士の業務です
ご自身で申請することは可能ですが、代理して行えるのは司法書士に限られます。税理士や行政書士が登記申請を代行することはできません。
おわりに
手順を並べると多く見えますが、ひとつずつ片づけていけば必ず終わります。むしろ大事なのは、設立の前に決める資本金・決算月・事業目的といった部分です。ここは後から変えにくく、その後の税負担にも影響してきます。
当事務所では、法人化すべきかどうかの試算からご相談を承っています。設立手続きについては、提携する司法書士と連携して進めますので、複数の窓口とやり取りしていただく必要はありません。
「そもそも法人にしたほうがいいのか」という段階でも構いません。お気軽にご相談ください。
本記事は2026年9月時点の制度にもとづいています。手数料や制度の内容は改正されることがありますので、実際の手続きにあたっては最新の情報をご確認ください。